社内資料でも、商品カタログでも、マニュアルでも。
「がんばって作ったのに、どうも伝わりきらない…」という経験、ありませんか?

広報や制作の方とお話ししていると、こんな声がたびたび聞こえてきます。
「文字を減らしたら“情報が足りない”と言われてしまった」
「ユニバーサルデザインは必要だと分かっているけれど、どこまで対応するべきか判断がつかない」
「部署間調整で情報が増え、最終的になんとなく整えた資料になってしまう」

情報が多い企業ほど、読み手への配慮が後ろに回りがちです。
その結果、つくり手が伝えたいことと、読み手が受け取る情報の間に、小さなズレが積み重なっていきます。

この記事では、ユニバーサルデザイン(UD)をただの“優しさ”ではなく、
企業の実務に役立つ「伝わる設計」として捉え直してみます。
読み終えるころには、「うちの資料にも見直せるポイントがあるかもしれない」と思えるような、小さな視点の変化を持ち帰っていただければと思います。

ユニバーサルデザインの本質

ユニバーサルデザインは、“特定の誰かへの特別な配慮”ではありません。
本質はもっとシンプルで、
「誰が読んでも迷わず理解できるようにする」
という考え方です。

大企業の資料の読み手は、本当に幅広いですよね。
社内の別部署、お客様、海外拠点、取引先…。
前提知識も違えば、読み方も違う。
だからこそ、UDは大企業の資料と相性が良いのです。

ただし、現場ではこうした葛藤もあります。
「ルールが多くなるとデザインが硬くなるのでは?」
「工夫の余地がなくなってしまうのでは?」

実際、そう感じる方は少なくありません。
でもUDは“縛る”ためのものではなく、迷いや手戻りを減らすための最低限の土台づくりなんです。

「UDはコストが上がるのでは?」という声もありますが、
実務ではその逆になるケースが多くあります。
UD視点が整っている資料は、修正の往復が少なく、追加説明も減るため、結果的にコストも工数も下がることがあるのです。

大企業の資料が読まれない理由

資料が読まれないのは、担当者の力量が足りないからではありません。
むしろ、組織構造によって“読みにくさ”が生まれやすいのです。

情報の多さが優先順位を曇らせる

部署ごとに「これも必要」「これも削れない」と情報が増えていき、
主役と脇役の情報が同じ扱いになってしまいます。
読み手は何から受け取ればよいのか迷子になりがちです。

視覚的な違和感が積み重なる

フォントの違い、余白の不足、行間の不一致。
一つひとつは小さな違いでも、積み重なると「読みにくい」に直結します。
忙しい現場ほど“ひとまず読めればいい”になりやすく、ここにUD不足が出ます。

読む場面を想像できていない

会議中に資料をサッと見たい人もいれば、じっくり読みたい人もいます。
この“読むシーン”を意識するだけで、構成が自然と変わります。
UDとは、読み手の状況を想像する力でもあります。

まず取り組むべきUDの基本

情報は“減らす”のではなく“並べ替える”

UDの真髄は、文字量の多さではありません。
読み手が迷わないように、
「結論 → 理由 → 補足」
という流れに整理するだけで、資料はグッと読みやすくなります。

図や表は“目的”で選ぶ

図が多いほど分かりやすい、というわけではありません。
むしろ、図が多すぎると主語が散らかり、理解が追いつかなくなることもあります。
“視覚化すべき情報かどうか”を見極める姿勢が大事です。

色・文字・余白をそろえる

フォントを増やしすぎない、コントラストを確保する、余白を惜しまない。
ごく小さなルールでも、資料の印象は大きく変わります。
アクセシビリティ対応は“盛り込みすぎる”と逆に読みにくくなることもあるので、選び取ることが大切です。

ユニバーサルデザインイメージ

“惜しいUD”が起こる瞬間

UDを意識し始めた頃、よく起きがちな失敗があります。

  • 文字を大きくしすぎて、レイアウトが崩れる
  • 図解を増やした結果、どこが要点か見えなくなる
  • 色覚対応を意識しすぎて、全体の印象がぼんやりする
  • チェックリストが目的化し、考えるデザインが止まる

どれも「良かれ」と思ってやったことが、結果的に逆効果になってしまった例です。
UDの落とし穴は、こうした“やりすぎ”にあります。
だからこそ、改善前に「誰に何を届けるのか」という原点に戻ることが欠かせません。

組織としてUDを運用するために

小さく始めるほうがうまくいく

UDのルールは、“縛るため”というより“迷いを減らすため”にあります。
最初から全社で一斉に導入するのではなく、まずは一つの部署だけで試すと、自然と運用が定着していきます。

外部の目が効く理由

資料を内製し続けていると、どうしても“当たり前”が固まっていきます。
外部の専門家が入ることで、読み手としての素直な違和感を指摘でき、品質が大幅に上がります。

セザックスが寄り添える部分

セザックスは、印刷・デザイン・マニュアル・Web制作まで一気通貫で対応してきた会社です。
80年の実績の中で、情報整理と視覚設計を同時に扱うノウハウが自然と蓄積されています。
UD視点を“現場で活かせるルール”に落とし込む伴走型の支援ができるのは、こうした背景があるからです。

明日からできる小さな改善

ユニバーサルデザインは、大きく変える必要はありません。
むしろ、今日からできる“小さな調整”が、読みやすさを大きく変えてくれます。

  • スライドの余白を少しだけ広く取る
  • 結論を先頭に置く
  • 同僚に「1分レビュー」をお願いしてみる

ほんの少し手を加えるだけで、資料が驚くほど軽やかになります。
読み手の迷いが減ると、あなたの伝えたいことがまっすぐ届くようになります。

その積み重ねが、ユニバーサルデザインの第一歩です。

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