「このフォント、見づらくはないと思うのですが…どうでしょう?」

Webサイトのリニューアルを進める中で、こんなやりとりをしたことはありませんか。

フォントは、主役になりにくい存在です。
色や写真、レイアウトほど議論されることはなく、「なんとなく無難そうだから」「前と同じで問題なさそうだから」と決まっていく。
けれど実際には、フォントは読みやすさだけでなく、企業としての信頼感や姿勢まで、静かに伝えています。

とはいえ、広報担当の立場からすると悩ましいのも事実です。

種類は多く、専門的な話になりがち。PCで見たときはきれいでも、スマートフォンでは途端に読みにくくなることもある。

デザイナーの意図は分かるけれど、社内からは「ちょっと読みにくくない?」という声が上がる。

そんな板挟みの状態で、「最終的な判断」を任されてしまう場面も少なくありません。

悩んでいる様子の女性

そもそも「見やすいフォント」とは何を指すのか

「読める」と「読みやすい」は似て非なるもの

たしかに、文字として読めないわけではありません。
でも実務では、「読める」と「読みやすい」は、はっきり違います。
読めるけれど、なぜか目が疲れる。
途中で読む気が失せる。
内容が頭に入ってこない。

こうした違和感は、フォント選びが影響していることも少なくありません。

見やすさはフォント単体では決まらない

行間が詰まりすぎていないか。
文字サイズは、実際の閲覧環境を想定しているか。
字と字の間が窮屈になっていないか。
フォントだけを変えても、「なんだか読みにくいまま」というケースは珍しくありません。

フォントにすべての責任を押し付けてしまうと、本当の原因を見失ってしまいます。

Webサイトでフォント選びが難しくなる理由

フォント選びがややこしく感じられる一番の理由は、「見る環境が一つではない」ことにあります。

社内で確認するときはPC。
けれど実際にお客様が見るのは、通勤中のスマートフォンかもしれません。

PCでは余裕があった行間も、スマートフォンでは急に窮屈に見える。
文字サイズも、「小さくはないはず」なのに、なぜか読み飛ばされる。

このズレは、フォントの良し悪しというより、前提条件の違いから生まれます。

Webサイトでよく使われるフォントと、その特徴

日本語のWebサイトでゴシック体が多く使われるのには、理由があります。

線が均一で、画面上でも文字がつぶれにくい。
情報量が多くても、比較的ストレスなく読める。

実務的には、とても扱いやすい存在です。

一方で、明朝体は「Webには向かない」と言われがちです。

たしかに、細い線は小さな画面では見づらくなることがあります。
ただ、すべてが不向きというわけではありません。
使いどころを絞れば、落ち着きや信頼感を演出できる場面もあります。

デバイス別に考える、フォント選定のポイント

フォント選びで迷ったら、まずはスマートフォン基準で考えるのがおすすめです。

画面が小さく、指でスクロールしながら読む。

この条件下でストレスが少ないかどうかは、とても重要です。

一方、PC閲覧が中心になるページでは、フォントを変えるより、情報の整理や構造の見直しが効くケースも少なくありません。

フォント選びで起きがちな失敗と、その背景

よくあるのが、「無難そうだから」という理由で選んだフォントが、結果的に読みにくくなってしまうケースです。
また、社内合意を重視するあまり、本来の読み手が置き去りになることもあります。

フォント選びは、デザインの話であると同時に、意思決定の話でもあるのです。

フォント選びは「デザイン」ではなく「設計」の話

フォントは、単体で存在しているわけではありません。

情報設計、導線設計、コンテンツの役割。
それらが組み合わさった結果として、「見やすさ」が立ち上がります。

印刷とWeb、両方に関わっていると、この違いがよりはっきり見えてきます。
紙は立ち止まって読むもの。
Webは流しながら読むもの。
同じ文章でも、求められるフォントの性質は変わります。

フォントで迷ったときに、今日からできる小さな判断軸

フォント選びで行き詰まったら、「誰が、どのデバイスで、どのくらいの時間読むのか」これを言葉にしてみてください。
好みではなく、状況を想像する。
違和感を覚えたら、その感覚をなかったことにしない。

それだけでも、判断は少し楽になります。

そしてもし、「考え方は分かったけれど、やっぱり決めきれない」、そう感じたときは、設計段階から相談できる相手がいるかどうかも、一つの分かれ道になります。

フォントは小さな要素ですが、積み重なると、Webサイト全体の印象を確実に変えます。

だからこそ、迷う時間も無駄ではありません。
その迷いごと、一度整理してみるのも、悪くない選択です。

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