「カタログは作った。でも、営業からはあまり使われていない」
「製品情報は全部載せたはずなのに、反応が薄い」
「結局、毎回つくり直している気がする」
製造業のマーケティング担当の方と話していると、こうした言葉が、少し申し訳なさそうに出てくることがあります。
製品カタログって、軽い仕事ではないですよね。
製品情報を集めて、原稿をまとめて、社内で確認を回して。
営業や技術からの修正も入り、「ここは残してほしい」「いや、ここは削れない」と調整を重ねる。
それなりの時間と労力をかけて、ようやく完成します。
それだけに、
「これで本当に伝わっているのかな」
「ちゃんと役に立っているのだろうか」
そんな感覚が残ると、少しつらいものがあります。
じつはこの違和感、デザインが悪いからでも、担当者の頑張りが足りないからでもないことがほとんどです。
多くの場合、原因はもっと手前、設計の段階にあります。
しかも厄介なのが、完成したカタログが「一見、ちゃんとして見える」こと。
大きなミスがあるわけではない。
だから問題に気づかないまま、「次の改訂で直そう」と先送りされてしまいます。
この記事では、製品カタログ制作でよくある失敗を、少し生々しい視点で取り上げながら、なぜ起きてしまうのか、どう考えれば避けやすくなるのかを整理します。
読み終えたあと、「次は、ここだけでも見直してみようかな」そんな気持ちが残れば十分です。
なぜ製品カタログは「失敗しやすい」のか
製品カタログがうまくいかない理由を、担当者個人の問題にしてしまうのは簡単です。
でも実際には、失敗しやすい条件が最初からそろっていることがほとんどです。
まず、関係者が多い。
営業、技術、企画、場合によっては経営層。
それぞれが、自分の立場から見て「これは大事だ」と思う情報を持っています。
営業は「比較されるポイントを載せたい」と言うし、
技術は「正確な仕様を削るのは怖い」と感じる。
企画は「ブランドイメージも崩したくない」。
どれも間違いではありません。
ただ、それらを全部、同じ重さで載せてしまうと、結果として「結局、何を一番伝えたいのか分からない」カタログになります。
もうひとつ、よくあるのが「全部大事」という心理です。
製品に関わっていればいるほど、削ることに抵抗が出てきます。
「これを載せないと、あとで困るかもしれない」
そんな不安が積み重なって、情報が増えていく。
完成した直後は、「まあ、ちゃんとしているし…」と、つい納得してしまう。
作り直すのも大変なので、「次で直そう」となりがちです。
でもその「次」が来る頃には、また同じ悩みを抱えている。
このループに、心当たりがある方も多いのではないでしょうか。

製品カタログ制作でよくある失敗例
よくある失敗のひとつが、情報を詰め込みすぎてしまうことです。
製品スペック、オプション、注意事項。
「必要そうなもの」は全部載せた。
でも、読み手からすると、どこを見ればいいのか分からない。
次に多いのが、「誰に向けたカタログなのか」が曖昧なケースです。
営業向けなのか、エンドユーザー向けなのか。
その軸がはっきりしないまま進むと、説明の深さもトーンも中途半端になります。
見た目は整っているのに、現場で使われない。
そんなカタログも少なくありません。
デザインはきれい。でも、商談中に必要な情報がすぐ見つからない。
結果として、机の引き出しにしまわれてしまいます。
意外と多いのが、更新や改訂をあまり考えずに作ってしまうケースです。
改訂のたびにレイアウトを直し、原稿を調整し、担当者が疲弊する。
「最初から想定しておけばよかった」と、後から気づくことになります。
失敗を回避するために、制作前に整理したい視点
失敗を避けるために必要なのは、細かいテクニックよりも、考え方です。
まず、このカタログは、どんな場面で使われるのか。
商談なのか、展示会なのか、Webなのか。
使われ方を思い浮かべるだけで、載せる情報の優先順位は変わってきます。
次に、誰の行動を変えたいのか。
読んだあと、問い合わせをしてほしいのか。
営業が説明しやすくなることが目的なのか。
ここが曖昧だと、情報設計も自然とぼやけます。
そして、「全部載せない」選択ができるかどうか。
削るのは怖いです。
でも、伝えるためには、取捨選択が必要になります。
社内制作と外注制作、それぞれの落とし穴
内製の場合、担当者に負荷が集中しやすくなります。
本来の業務と並行して進めるため、どうしても後回しになってしまう。
一方、外注すれば安心かというと、そうでもありません。
丸投げしてしまうと、意図が伝わらず、「思っていたのと違う」仕上がりになることもあります。
大切なのは、「どこを任せて、どこを一緒に考えるか」。
外部を作業者ではなく、相談相手として関われるかどうかです。
製品カタログ制作を成功させる企業の共通点
うまくいっている企業ほど、制作前の対話に時間をかけています。
すぐに作り始めない。
まず、考えを言葉にする。
また、印刷物として作って終わりにせず、Webや営業ツールとのつながりまで考えています。
カタログを「配るもの」ではなく、「使われるもの」として捉えています。
そして、制作のパートナーを「作業をお願いする相手」にしていません。
一緒に考える存在として関係を築いています。
次のカタログ制作で、ひとつだけ意識してほしいこと
「何を載せるか」より、「何を伝えるか」。
この視点に立てるかどうかで、製品カタログの出来は大きく変わります。
つい、
「あれも必要かもしれない」
「これを削ったら、あとで困るかもしれない」
と考えてしまいますよね。
でも、そうやって情報を足し続けた結果、いちばん伝えたかったことが埋もれてしまう場面を、私たちは何度も見てきました。
もし今、
「悪くはないけど、何か足りない気がする」
「営業が使いづらそうにしている」
そんな小さな違和感があるなら、それは見過ごさなくていいサインだと思います。
大がかりに作り直す必要はありません。
次の改訂で、次の制作で、「このカタログは、誰に、どんな場面で使われるのだっけ?」と一度立ち止まるだけでも、設計は変わってきます。
相談することは、すぐに外注を決めることではありません。
今の悩みを言葉にして、
「何がズレているのか」
「どこから直せばいいのか」
を整理する時間を持つ、という選択です。
製品カタログは、作ること自体が目的ではなく、使われて、初めて価値が生まれるものです。
その価値をきちんと引き出すために、一度、外の視点を入れてみる。
その一歩が、次のカタログ制作を、少しだけ楽にしてくれるはずです。
