営業で使えるカタログとは、製品情報を網羅するだけでなく、顧客の課題に合わせて説明しやすく、次の質問や提案につなげられるカタログです。商談の流れを想定した情報設計が重要になります。

この記事でわかること

  • 営業で使いやすいカタログと商品一覧型カタログの違い
  • 商談を進めやすくするカタログの構成
  • 営業担当者が説明しやすい誌面設計のポイント
  • 紙のカタログとWeb・動画を連携させる方法
  • 営業現場でカタログを活用するための運用方法

営業で使えるカタログとは

営業用カタログというと、製品スペックや価格、品番を整理した冊子をイメージするかもしれません。しかし、情報を一覧できるだけでは、必ずしも商談で使いやすいとは限りません。

営業担当者が商談で必要としているのは、顧客の関心に合わせてページを開き、「この課題なら、この製品が合います」「この違いはここです」と説明できるツールです。

「伝わらないカタログからの脱却」でも、製品の技術やスペックを一方的に説明するだけでは、読み手が知りたい「自分にとって何の役に立つのか」とズレてしまうことを指摘しています。カタログ制作では、まず「誰に」「何を伝え」「どんな行動を起こしてほしいか」を明確にすることが重要です。

つまり、営業カタログの役割は「情報を載せること」ではなく、営業担当者と顧客の対話を前に進めることにあります。

商品一覧型カタログが営業で使いにくくなる理由

製品数の多い企業では、どうしても「すべての商品を漏れなく掲載すること」がカタログ制作の中心になりがちです。その結果、品番・仕様・写真が同じフォーマットで並び、情報を検索する資料としては便利でも、顧客への提案には使いにくくなることがあります。

特にBtoBの商談では、顧客が最初から製品名や型番を決めているとは限りません。「作業時間を短縮したい」「品質を安定させたい」「現在の設備を活用したい」といった課題から相談が始まるケースもあります。

こうした場面では、商品分類だけで構成されたカタログより、「どのような課題に対応できるのか」「どのような場面で使えるのか」という顧客視点の入口を用意したほうが、営業担当者も話を展開しやすくなります。

営業カタログは商談の流れから構成を考える

営業で使うことを前提にするなら、カタログのページ構成も商談の流れに合わせて考える必要があります。

例えば、次のような順番です。

  • 顧客が抱えている課題を提示する
  • 課題に対する解決方法を示す
  • 該当する製品・サービスを紹介する
  • 製品ごとの違いや選定基準を比較する
  • 詳細情報や導入相談など、次の行動へつなげる

この構成であれば、営業担当者は最初からすべてのページを説明する必要がありません。顧客との会話から課題を確認し、必要なページを選びながら提案できます。

「何を売りたいか」より「顧客が何を知りたいか」から考える

カタログ制作では、新製品や自社の強みなど、企業側が伝えたい情報が増えやすいものです。しかし、その情報を同じ強さで並べると、顧客にとって重要な情報が見つけにくくなります。

まず顧客像を設定し、製品選定時にどのような判断をするのかを整理します。価格を重視するのか、性能を比較したいのか、導入後の運用を知りたいのかによって、強調すべき情報は変わります。

ターゲットによって必要な情報の優先順位を決めることが、営業カタログの情報設計の出発点です。

営業担当者が説明しやすい誌面をつくる

営業カタログでは、内容だけでなく「どこを見れば何がわかるのか」が瞬時に判断できることも重要です。

見出し、写真、図表、スペック、特徴などの位置や表現方法に一定のルールを設けると、営業担当者が必要な情報へアクセスしやすくなります。

レイアウトによる印象の違いでも、デザインは単に見た目を整えることではなく、伝えたい情報を論理的に再構築して視覚化する作業としています。同じ文章や写真を使用していても、レイアウトによって読み手の印象は大きく変わります。

営業トークの起点になる情報を目立たせる

例えば製品ページなら、スペック表だけでなく、次のような情報を目立つ位置に配置すると説明の起点をつくりやすくなります。

  • この製品が向いている用途
  • 解決できる課題
  • 他製品との違い
  • 選定時の判断基準
  • 使用シーンや導入イメージ

営業担当者は、こうした情報をきっかけに顧客へ質問できます。「現在はどの工程で困っていますか」「こちらの条件は必要ですか」と会話を広げることで、カタログが一方的な説明資料ではなく商談支援ツールになります。

複雑な製品は図や比較表で理解しやすくする

BtoB製品では、性能や構造、ラインアップの違いを文章だけで説明すると、情報量が多くなりやすいという問題があります。

そこで有効なのが、図解、アイコン、比較表、フロー図などによる情報の視覚化です。

インフォグラフィックスについての解説では、複雑な内容を絵や図によって理解しやすくするだけでなく、情報を取捨選択し、「誰に、どのように伝えるか」という意図を持つことが重要だとしています。

営業カタログでも、単に図を増やせばよいわけではありません。営業担当者が説明したい情報と、顧客が比較したい情報を整理したうえで視覚化することがポイントです。

比較表は「選ぶための情報」にする

複数製品を掲載する場合、スペックの一覧表だけでは違いが判断しにくいケースがあります。

例えば、「高性能モデル」「標準モデル」と分類するだけでなく、「大量処理に向く」「省スペースを重視する場合に向く」など、選定条件と製品を結びつけると、顧客自身も候補を絞りやすくなります。

比較情報は、製品の優劣を決めるためではなく、「どの条件なら、どれを選ぶか」をわかりやすくするために設計します。

営業カタログでは印刷・製本まで考えて設計する

営業担当者が日常的に持ち歩くカタログでは、ページ数やサイズ、用紙、製本方法も使いやすさに影響します。

例えば、中綴じ冊子では紙の厚みとページ数によって、内側のページほど仕上がり寸法が短くなる現象が発生します。「製本」を考慮したデザインをでは、共紙の64ページ中綴じカタログを例に、紙の重なりによって内側の紙面が狭くなり、ノンブルなどの位置を調整する「束調整」が必要になることを紹介しています。

表組みを左右いっぱいまで配置したデザインでは、中央付近のページが窮屈に感じられる場合もあります。営業カタログでは、デザイン段階からページ数、用紙、綴じ方を合わせて検討することが大切です。

営業現場で書き込みをするのか、持ち運ぶ機会が多いのか、机上で見せることが多いのかといった利用場面まで確認すると、仕様を決めやすくなります。

紙のカタログだけで商談を完結させない

製品の詳細仕様、動画、導入事例、技術資料など、営業に必要な情報をすべて紙面へ掲載すると、カタログのページ数が増え、情報も更新しにくくなります。

そのため、紙のカタログには商談の入口となる情報を掲載し、詳細情報はWebへ分担する方法が有効です。

  • 製品詳細ページへ誘導するQRコード
  • 製品の動作を確認できる動画
  • 導入事例や技術資料
  • 仕様書や取扱説明書
  • 問い合わせ・見積りページ

紙面で興味を持った顧客が、その場でより詳しい情報へアクセスできれば、営業担当者がすべてを口頭で説明する必要もありません。紙は全体像や要点を伝える役割、Webは詳細情報や更新性を担う役割というように分担できます。

営業ツール全体でブランドイメージを統一する

営業活動では、カタログだけが単独で使われるとは限りません。会社案内、Webサイト、営業資料、製品パンフレットなど、複数のツールを顧客が目にします。

施工業C社の事例では、新会社設立時の会社案内制作をきっかけに、Webサイトや各種カタログを含めたツール制作へ展開し、それらを通じて企業ブランディングの構築を支援しています。

カタログだけデザインやメッセージが異なると、顧客が受ける企業イメージも分散します。営業ツールを制作する際には、ロゴや色だけでなく、伝える価値、写真表現、図版、コピーなども含めて一貫性を持たせることが重要です。

営業現場でカタログを使ってもらうための運用方法

どれだけ完成度の高いカタログを制作しても、営業担当者が使い方を理解していなければ十分に活用されません。

制作時には、営業部門からヒアリングし、「どの場面で使うのか」「よく聞かれる質問は何か」「説明しにくい製品は何か」を確認しておくことが重要です。

完成後も、配布して終わりにするのではなく、営業現場からフィードバックを集めます。

  • よく開かれるページはどこか
  • 説明に時間がかかる情報はないか
  • 顧客から繰り返し聞かれる質問は何か
  • 掲載しているがほとんど使われない情報はないか
  • Webへ追加したほうがよい情報はないか

こうした情報を次回の改訂に反映すれば、カタログを営業現場に合わせて継続的に改善できます。

営業カタログ制作では「商談でどう使うか」から逆算する

営業で使えるカタログをつくるポイントは、掲載情報を増やすことではありません。

  • 誰に使うカタログなのかを決める
  • 顧客の課題から製品へつながる構成にする
  • 営業担当者が説明の起点にできる情報を配置する
  • 図解や比較表で選定しやすくする
  • 印刷・製本を含めて実際の使いやすさを考える
  • Webや動画と役割を分担する
  • 営業現場のフィードバックを改訂に反映する

カタログを「製品情報をまとめる冊子」ではなく、「顧客との会話を進める営業ツール」として捉えることで、必要な構成やデザインも変わってきます。

セザックスでは、カタログ・パンフレットの企画や情報設計から、デザイン、印刷、Web・動画などのデジタルコンテンツまで含めて制作を支援しています。営業現場で使いやすいカタログへの改訂を検討されている場合は、お気軽にご相談ください。

営業ツールとしてのカタログもご相談ください。セザックスのグラフィックデザインサービス