印刷会社が手がけるWeb制作の強みは、Webサイト単体ではなく、カタログや会社案内などの販促物を含めて情報とデザインを一貫させられることです。
この記事でわかること
- 印刷会社にWeb制作を依頼するメリット
- 印刷物とWebサイトを連動させる考え方
- 媒体間でデザインや情報がずれる原因
- カタログや会社案内のデータをWebで活用する方法
- オフライン×オンライン施策を進める際のポイント
印刷会社のWeb制作は何が違う?
Web制作会社、広告代理店、デザイン会社など、Webサイトを依頼できる事業者は数多くあります。その中で印刷会社がWeb制作を手がける意味は、Webサイトだけを独立した媒体として考えない点にあります。
企業の販促活動では、Webサイトのほかにも、会社案内、製品カタログ、パンフレット、チラシ、DM、展示会パネルなど、さまざまな媒体が使われます。顧客はこれらの媒体を別々に見るのではなく、複数の接点を行き来しながら企業や商品への理解を深めていきます。
そのため、Webサイトだけをきれいに作っても、印刷物と掲載内容やデザインが大きく異なっていれば、企業としての統一感は生まれません。印刷会社によるWeb制作の強みは、紙媒体の仕様や制作工程も踏まえ、複数の販促ツールを横断して設計できることにあります。
オフラインとオンラインを連動させる3つのメリット
1.媒体ごとの情報のずれを抑えられる
Webサイトと印刷物を別々の会社へ依頼すると、原稿や画像がそれぞれの制作会社に渡り、個別に編集されることがあります。その結果、製品名、仕様、価格、企業メッセージなどが媒体によって異なる状態になりかねません。
印刷物とWebサイトをまとめて設計すれば、掲載情報の基準をそろえやすくなります。共通の原稿や画像を管理し、各媒体の役割に応じて情報量や表現を調整するためです。
例えば、会社案内では企業の理念や事業領域を簡潔に伝え、Webサイトでは事業内容、事例、採用情報などを詳しく紹介するという役割分担が考えられます。内容を単純にコピーするのではなく、共通する情報の軸を定めたうえで、媒体ごとに最適化することが重要です。
2.ブランドイメージを統一しやすい
ブランドの印象は、ロゴやコーポレートカラーだけで決まるものではありません。写真の選び方、見出しの表現、余白、文字の大きさ、用紙の手触りなど、顧客が触れる要素の積み重ねによって形成されます。
施工業C社の事例では、新会社設立に伴う会社案内の見積もり依頼に対し、資料や既存情報から仮説を立て、デザイン案も含めて提案しました。その結果、会社案内だけでなく、Webサイトや各種カタログまで制作範囲が広がり、各種ツールを通じた企業ブランディングを60日で構築しています。
この事例からも、ブランド構築では最初からすべての媒体を作り直す必要はないことがわかります。会社案内やカタログなど、中心となるツールを起点にデザインと情報を整理し、Webサイトやほかの販促物へ展開する方法も有効です。
3.保有データを複数媒体で活用できる
カタログ制作では、製品名、型番、仕様、画像、説明文など、大量の情報を扱います。これらを印刷物専用のデータとして管理していると、Webサイトを更新するたびに情報を入力し直さなければなりません。
一方、製品情報を構造化して管理すれば、カタログ、Webサイト、多言語版、営業資料など、複数の媒体へ展開しやすくなります。
部品メーカーD社では、2,000ページ以上に及ぶ製品カタログの制作負担を軽減するため、XMLを利用した自動組版システムを導入しました。さらに、翻訳ツールと画像管理システムを組み合わせ、各国語版カタログの制作とデータ管理を効率化しています。
このような仕組みは、大規模なカタログだけに必要なものではありません。製品点数が増えている企業や、紙とWebの更新頻度が合わない企業にとっても、情報を一元管理する考え方は有効です。
紙とWebは同じデザインにすればよいわけではない
オフラインとオンラインの連動というと、印刷物とWebサイトの見た目を完全にそろえることだと思われがちです。しかし、媒体の特性が異なるため、同じレイアウトをそのまま流用する方法は適切ではありません。
| 項目 | 印刷物 | Webサイト |
|---|---|---|
| 閲覧方法 | ページをめくりながら読む | リンクや検索から必要な情報へ移動する |
| 情報量 | ページ数や判型による制約がある | 階層化して詳しい情報を掲載できる |
| 更新 | 増刷や改訂が必要 | 公開後も随時更新できる |
| 表現 | 紙質、加工、手触りを利用できる | 動画、動き、フォームなどを利用できる |
| 主な役割 | 手元に残し、一覧性や信頼感を与える | 検索、比較、問い合わせなどの行動につなげる |
共通化すべきなのは、企業メッセージ、掲載情報、写真の方向性、デザインルールなどです。一方、レイアウトや情報の見せ方は、それぞれの媒体に合わせて設計します。
印刷物だから表現できるブランドの質感
Webサイトでは画面上の色や動きによって印象を作りますが、印刷物では用紙の光沢、手触り、厚み、インキの発色などもブランド表現の一部になります。
例えば、グロス系の塗工紙は発色性に優れ、写真を中心としたカタログやパンフレットに向いています。ただし、光沢が強いため、文章量の多い印刷物では文字が読みづらくなる場合があります。
マット系の用紙は、白紙面と印刷面の光沢が抑えられ、落ち着いた印象を作りやすい一方、製本加工時のこすれによる汚れに注意が必要です。非塗工紙はカラー画像の再現性では塗工紙に劣るものの、照りが少なく、文字を読みやすくできます。
このように、塗工紙と非塗工紙では発色性や読みやすさが異なるため、Webサイトのデザインを印刷物へ展開する際には、画面上の見え方だけで用紙を決めないことが大切です。
また、ディスプレイ上では同じデザインに見えても、用紙が変わればインキの発色や文字の読みやすさ、手触りが変化します。カタログ、DM、書籍など、成果物の用途によって適切な用紙は異なります。必要に応じて、実際の用紙見本を確認しながら選ぶことが、イメージのずれを防ぐ方法です。
印刷物からWebサイトへ誘導する導線設計
印刷物とWebサイトを連動させる場合、QRコードを掲載するだけでは十分とはいえません。重要なのは、読み取った先で、読者が求める情報や行動を用意することです。
例えば、製品カタログからWebサイトへ誘導する場合は、企業サイトのトップページではなく、該当製品の詳細ページ、仕様資料のダウンロードページ、問い合わせフォームなどへ直接つなげます。
展示会で配布するチラシであれば、展示製品の紹介動画、導入事例、商談予約フォームなどをリンク先として設計できます。会社案内では、採用情報、拠点情報、最新事例など、印刷後に更新される可能性が高い情報をWeb側へ委ねる方法もあります。
印刷物は情報の全体像を短時間で伝え、Webサイトは詳細情報の提供や問い合わせを担う、といった役割分担を決めることがポイントです。
オフライン×オンライン施策の進め方
Step 1.顧客との接点を整理する
まずは、顧客が自社を知ってから問い合わせるまでに、どの媒体へ接触するかを整理します。検索、広告、展示会、営業訪問、DM、カタログなど、実際の行動に沿って並べることが重要です。
Step 2.媒体ごとの役割を決める
それぞれの媒体で何を伝え、次にどの行動を促すかを決めます。すべての情報をすべての媒体へ載せるのではなく、認知、理解、比較、問い合わせなどの役割を分担させます。
Step 3.共通する情報と素材を整理する
企業情報、製品情報、画像、図版、導入事例、ブランドカラーなど、複数の媒体で利用する情報を整理します。更新責任者や正式な原稿を明確にすることも、媒体間の不一致を防ぐうえで欠かせません。
Step 4.印刷物とWebサイトを並行して設計する
片方を完成させてからもう片方を作るのではなく、初期段階から全体の情報構造を共有します。共通部分と媒体固有の部分を切り分けることで、手戻りを減らしやすくなります。
Step 5.公開・納品後の更新方法を決める
Webサイトは随時更新できますが、印刷物はすぐには差し替えられません。製品仕様や価格など変更頻度の高い情報をどちらへ掲載するか、改訂時にどのデータを基準とするかをあらかじめ決めておきます。
印刷会社へのWeb制作依頼が向いている企業
印刷会社へのWeb制作依頼は、特に次のような企業に向いています。
- Webサイトと会社案内の内容が一致していない
- カタログやパンフレットを定期的に制作している
- 製品情報や画像が社内に分散している
- 展示会、営業活動、Web集客を連動させたい
- 制作会社が媒体ごとに分かれ、管理負担が増えている
- 企業や製品のブランドイメージを統一したい
一方、Web広告の運用だけを依頼したい場合や、Webサービスの高度なシステム開発が中心となる場合は、専門領域を確認したうえで依頼先を選ぶ必要があります。「印刷会社だから強い」と一括りにせず、Web企画、デザイン、システム、印刷、運用をどこまで一貫して対応できるかを確認することが大切です。
まとめ|販促ツール全体からWeb制作を考える
印刷会社が手がけるWeb制作の強みは、Webサイトだけでなく、会社案内、カタログ、パンフレット、DMなどのオフライン媒体を含めて、情報とデザインを設計できることです。
紙とWebは、それぞれ異なる特性を持っています。見た目をそのままそろえるのではなく、企業メッセージや製品情報を共通化しながら、媒体ごとの役割に合わせて表現を変えることが、連動施策を成功させるポイントです。
セザックスでは、Webサイト、会社案内、製品カタログをはじめとする販促物について、企画、デザイン、印刷、システム構築まで横断してご提案しています。媒体間の情報整理や、既存販促物を起点としたWebサイトの見直しについても、お気軽にご相談ください。


